北千住おひとりさま

東京の大きな下町、北千住で過ごす20代男の日常など。

『商店街再生の罠』と北千住

書評なんかも書いてみます。

単純に感想だけ書くんじゃなくて、北千住という街と照らし合わせて考察などできたらと。
 

商店街再生の罠:売りたいモノから、顧客がしたいコトへ (ちくま新書)

商店街再生の罠:売りたいモノから、顧客がしたいコトへ (ちくま新書)

 
初回はこの本。
本書では【商店街】というテーマに絞り、自治体を中心とした商店街再生に対する浅薄な試みを、独自の切れ味ある論調で斬っています。
 
商店街再生には、それぞれ「テーマパーク型商店街」「地域一番商店街」という二通りの目指し方がある、としています。
前者は「レトロ」「キャラクター」「B級グルメ」のような、一見さん向け、観光客向けの商店街。後者は地元客のリピート需要を狙うもの。
どちらが正解というものではないが、一貫していない施策、美辞麗句のみで実現の意思のない活性化計画、利用客を見ずに成功事例の表面的な模倣ばかりを行う公務員、といった数々の罠により、うまくいっていない、成功とは必ずしも言えない事例がコピペされ続けている現状を指摘しています。
 
 
中盤では、商店街再生に取り組む、公務員や商店主といった主体に着目し、前半で指摘されたようなことが繰り返される背景が考察されています。
公務員の素質や意識の問題、そして肝心の商店主のやる気のなさといった問題。
ここは著者自身の経験をふまえたところで、かなり踏み込んで言及されていて痛快です。
 
終盤では、著者の提唱する商店街再生のための戦略が提示され、「シェア」「地域経済循環」「趣味とコミュニティ」といった三通りの提言がなされています。
 
 
レビューって難しい。。。
 
そしてここから感想と考察。
多くの商店街の再生の試みが事例として紹介されていることにまずは驚かされますが、一般的に成功事例と言われているような「水木しげるロード」や「レトロ」を批判的に考察し、その功罪両面からの指摘は見事と言えるでしょう。
"地域内格差"の問題、つまりその再生施策によって誰が潤ったのかという視点は、テーマパーク型商店街を安易に採用しがちな自治体が配慮してほしいところです。
 
個人的に気になっていた、商店街が全国資本のチェーン店で侵食されていく現象についても多く言及されていたことが参考になりました。
シャッターのままにしておく理由、安定賃料の払えるチェーン店に貸す背景について丁寧に考察されています。
読む前は「つまんないけど、まあこれが資本主義なのかな。実際利用者としては個人商店より利用しやすいし、仕方ないよなー」くらいな意識だったのが、「安易なテナント誘致は確かに『まちの崩壊』を招くから、自治体が支援する際にはある程度そこにも介入しないとな」という認識に。
 
 
翻って北千住を考えてみると、例えば西口のきたろーど?商店街にはほとんど個人商店はなく、チェーンの不動産屋さんとチェーン飲食店、少しだけチャレンジショップ、という印象です。
さらに自動車と自転車で歩行者空間はいじめられ、個人的にはここが商店街だという印象は持てません。
アーケードがマクドナルドで一旦消え、隣の八百屋さんでまた復活している違和感は、その意識を助長します。
久繁氏は、商店街が生き残るためには大規模小売店や全国チェーン店の「効率」「高級」とは違う、「交流」という軸で勝負することが肝要だと述べていますが、私も別の経緯から同様のことを考えています。
単身者は地域コミュニティとのつながりを持ちにくいので、『下町人情』のような方法で街を味わうことができまさん。購買など消費を通じてしか地域に関わることができないと感じます。
にも関わらず街にはびこるのがコンビニチェーンや大規模小売店であると、そうした地域との関わりさえ絶たれてしまいます(頑張って個人店に行けばいいという説はあるけども…)。
 
チェーンや大規模資本が悪者だと言いたいわけではないのですが、無縁社会化が叫ばれる近い将来において、単身者や若い家族が地域を味わい、コミュニティを形成していくためにも、
本書で提言されているようなスローフード型、交流型の新しい商店街再生が広まっていくことを願います。
千住の街が特別衰退している印象はありませんが、何かできたらなとは漠然と感じます。
 
 
なんか本当にまとまっていない。
書き続ける中で慣れていきたい…(ーー;)